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教育資金の一括贈与、こういう使い方もアリ!なんです

世の中には心配性の方というのがいらっしゃるものです。私の知人に50代の男性医師がいるんですが、その方は私の顔を見るといつも「今俺が死んだら...」という話をされるんです。別に持病があるわけでもなく、反対にフルマラソンにでも出ようかというくらい元気一杯の方なんですけどね。

で、続いて口にするのが、「今俺が死んだら相続税はいくらくらいかかるんやろ?」です。その方は私の顧客ではないのでどれくらい財産を持っているかも分かりません。が、おそらく結構な額の相続税がかかるのではないかと思われます。ちゃんとその方の顧問税理士がアドバイスしてあげれば良いのに、と思いつつ出過ぎたマネもできませんので私も適当なことを言ってお茶を濁すくらいしかできませんでした。

あるときその方が「銀行でこんなん見たけど、これ使われへんかな?」と言ってきました。何の話かと思って聞いてみると「教育資金の一括贈与の非課税制度」のことでした。ご存じない方のために簡単に説明しますと、平成25年度から始まった贈与税の非課税制度のことで、親・祖父母から子や孫に対する教育資金の贈与であれば、銀行等で一定の手続きをする必要がありますが、1,500万円までは贈与税がかからないという制度のことです。

そもそも親・祖父母が子どもや孫の教育資金をそのつど負担してあげても贈与税はかかりません。しかし、将来かかるであろう教育資金だからといって、それを事前にまとめて贈与してしまうと贈与税がかかってしまいます。そんななか、高齢者が持つ財産を現役世代にまわしたいという政府の思惑によって、当初から「祖父母から孫にまとまった資金を贈与してもらう」ことを想定してこの制度は作られました。

というような説明をその方にしたところ、「いや、それは分かってるんやけど、今俺が死んだら少なくとも1,500万円は相続税がかからんで済むんやろ?それやったらメリットあるんと違うの?」と反論されました。

確かにおっしゃる通りです。この制度では、贈与したお金はすでに子や孫のものになっているので、贈与後にその方が亡くなってもそのお金が相続税の計算に組み込まれることはありません。うーん、そういう発想はなかったですね。

おそらくお子さんが学校を卒業するころになってもその方はまだまだお元気だと思いますが、万一のことがあった場合、教育資金の分だけは生前に贈与できたことになります。そんな場合には、相続税対策としてやっておいて良かったということになるでしょう。

しかしこの制度は、教育費として使った分の領収書を銀行に出さないといけない、とか、子どもが30歳になった時点で使い残しがあったらその金額に対して贈与税がかかる、など使いにくい部分もあります。また、子どもがもう高校生や大学生だったらあと教育費が必要なのは長くて10年もないでしょう。その期間限定の相続税対策ですが、この方同様、心配性の方はご検討されてみてはいかがでしょうか?

酒井税理士事務所代表 酒井 勇(税理士登録 第102393号)

住所: 大阪市西区南堀江1-2-6 サムティ南堀江ビル8階
HP: http://www.sakai-tax.jp/

経歴

昭和44年11月29日生。大阪府堺市出身。神戸市外国語大学中国学科を卒業後、特殊鋼の専門商社に入社する。そこで香港現地法人立ち上げに関わった経験から中小企業の財務会計に興味を持ち税理士資格取得を志す。その後会計事務所勤務を経て平成20年4月に酒井税理士事務所を開業する。“税に関する情報をわかりやすい言葉でお伝えします!"をモットーに、情報を必要とする方に有益な情報を届けることに注力し、現在では多数メディアにも掲載され活躍されておられます。

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