今年の3月に確定申告をされた医師のみなさまには、税務署から「予定納税額の通知書」なるものを受け取った方がいらっしゃるかもしれません。中身を見てみると7月末までと11月末までに記載の金額を予定納税しなさいという文言が...今回はこの予定納税についてお話ししたいと思います。
予定納税とは簡単にまとめますと、前年にある程度の納税をした方(医師のみなさまも含まれます)は、来年の確定申告時期を待たず、今年納めることになるであろう所得税を概算で前払いしてくださいという制度のことです。
具体的には、
○ 前年分の申告納税額が15万円(注)以上の方が対象
○ 前年分の申告納税額の3分の1の金額を、7月と11月の2回に分けて納める
というものです。
(注)前年に譲渡所得や一時所得、雑所得などがあった場合には調整計算が入りますので15万円未満でも対象になる場合があります。
なお、この予定納税はあくまで概算払いですので、最終的には来年の確定申告時に納めるべき所得税額と相殺され、払いすぎていた場合には還付されることになります。
なぜこんな制度があるのでしょうか。一説には、給与所得者は毎月の給料から源泉所得税を天引きされることで税金の前払いをしているのに、自営業者に前払いの制度がなかったら不公平だ!ということでできたのだと言われています。
また、一度に多額の所得税を納めるのは大変だろうから3回に分けて払う方が負担が少なくて良いでしょ、ということを言われる方もおられます。(それなら前払いではなく後払いの分割にしてもらいたいところですが)
でも実際のところは財源確保のため、次年度開始前に部分的にでも税を徴収しておきたいというのが本音なのでしょうね。
この予定納税ですが、前年よりも収入が落ちた場合や廃業した場合などには「予定納税額の減額申請」という手続きをすることにより、納付すべき予定納税の金額を減額することができます。
具体的には、予定納税額を前年の申告納税額の3分の1ではなく今年の予想納税額の3分の1に減額します。年初からの実績をベースに今年の所得金額及び納税額を予想することで、より実情に応じた予定納税にしようということです。
ただし、この手続きの期限は第1期分は7月15日まで、第2期分は11月15日までとなっています。月末ではありませんのでご注意ください。
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昭和44年11月29日生。大阪府堺市出身。神戸市外国語大学中国学科を卒業後、特殊鋼の専門商社に入社する。そこで香港現地法人立ち上げに関わった経験から中小企業の財務会計に興味を持ち税理士資格取得を志す。その後会計事務所勤務を経て平成20年4月に酒井税理士事務所を開業する。“税に関する情報をわかりやすい言葉でお伝えします!"をモットーに、情報を必要とする方に有益な情報を届けることに注力し、現在では多数メディアにも掲載され活躍されておられます。